6.占い婆さん

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「それでその男の子にまた会いたいのかい? まだまだ子供だと思ってたらもう色気づく年頃になったんだねぇ」 「ち、違うよ! そんなんじゃないよ!」 「ヨルクがかわいそうになっちゃうのう」 「どうしてそこで兄さんの名前が出てくるんだよ?!」  ペトラは、茶々を入れるおばあに何とかクッキーをくれた少年と同行者2人の様子を話した。少年は同行者にヤンと呼ばれていた。ペトラよりも2、3歳上ぐらいに見えたが、ペトラは12歳にしては小さいので同じぐらいの年齢かもしれない。同行者は2人ともヤンよりも更に10~15歳ぐらい年上の若い男性で身体を鍛えているようだった。3人とも平民の着るような服より少し粗末な服を着て顔が汚れていたけど、何だか借り物を着ているような感じで板についていなかった。 「どうやったらこの人にまた会える?」 「ふうん。そうさねぇ……ここを出て働くつもりはあるかい?」 「彼と会える所で働けるの?」 「すぐじゃないけど、ここにいるよりはチャンスがあるよ。行くかい? それともここに残るかい?」 「一旦帰って兄さんと相談する」 「ヨルクは行かないさ。ここで決断しな。今ちょうど奉公先を紹介してくれる人が来ているんだよ。ペトラが決めたんなら、彼がすぐに斡旋所まで連れて行ってくれる。チャンスは1回きりだよ」
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