8.ペトラの行方

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「あの子は賢い子だよ。亡くなった母親にもあの子の将来を頼まれていた。もうここから羽ばたかせてあげてもいいんじゃないかい?」 「だからってアンタ達の活動に巻き込むのは止めろ!」 「巻き込んでいないよ。今はね。とりあえずアレックスに奉公先を紹介してもらった。彼女が私達の活動に共感すれば活動に参加するだろうし、共感しなければ普通の使用人として働く。彼女の選択次第だよ」 「アレックス? あの親父だってアンタ達の仲間じゃないか。そんなの詭弁だ!」 「あんたもここを出て働きに出るかい?」 「誰が! アンタ達の手先にされるのは真っ平だ!」 「だからそれはあんた次第。私達は強制しないよ。とにかくペトラはここに戻るつもりはないようだよ」 「くそっ!」 「あんたがここを出るつもりがあるなら、3日後、ここに来な。だけど、あんたがペトラと同じ屋敷に勤められるかどうかは保証できないのは承知しておいてくれよ」 「だったら意味がないじゃないか!」 「意味はあるさ。チャンスがあるだけあんたは幸運なんだよ。さあさあ、もう帰りな。これから占いの仕事に出掛けるんだ」  おばあは問答無用にヨルクを掘っ立て小屋から追い出した。  3日後、ヨルクは迷いつつも結局おばあの所に来た。だがアレックスに連れられて向かった貴族の屋敷にはペトラはいなかった。
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