10.ばれた覗き見*

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「もうビチャビチャだ。無垢な振りをしている癖に淫乱だな」 「ああ……若旦那様……」  カチャカチャとベルトを外す音が聞こえ、男はトラウザーズの前を寛げたようだった。エレナに壁に手をつけさせ、後ろ向きになった彼女のスカートをまくり上げていきなり後ろから突き上げた。男の両手はメロンのように大きな胸に食い込んでいた。 「んん……激しっ……ああっ……」 「声を抑えろ」  男はエレナを振り向かせ、再び口付けて彼女の口を塞いだ。 「ん、ん、ん……」  エレナを後ろから責める男が一瞬ペトラの方を向き、ペトラは目が合ったような気がしてビクッとした。だが男は次の瞬間、既に視線を背けていた。彼はその後、数回激しくエレナを突き上げて小さく呻いた後、彼女から身体を離し、エレナの身体の横の壁に男根から白い液体を吐き出した。どろりとした液体が壁を伝って床に落ちていき、青臭い匂いがリネン室に広まっていった。  前を寛げたままのトラウザーズからは、まだ半勃ちの男根が突き出ていた。それは体液でぬらぬらと光り、先端から雫が落ちそうなのが、薄暗いリネン室の中でも目の良いペトラには見えた。男女の事を全く知らないペトラには刺激が強く、でもそうと言っても興味津々で目を離せなくなった。  男は綺麗に洗って畳んである布巾をすぐ横の棚から取り、欲望を放って萎えてきた陰茎を拭った。ペトラはせっかく洗ったのにと一瞬声をあげそうになったが、すんでの所で耐えた。 「ああ、若旦那様……」  エレナは情事が終わってしまい、未練がましそうだった。 「あの……噂を聞いたのですが……婚約されるって本当ですか?」 「ああ。私ももう22歳だからね」 「そうですか……では私とはもう……?」 「私も次期伯爵、王太子殿下の側近として身分に合う女性を娶らなくてはならないのだよ。分かってくれ、私も辛いんだ。でも君がよければ、結婚後もこの関係を続けよう」 「そんな……私に愛人になれっていうんですか?! 若旦那様に全てを捧げてきたのに……」 「私は国と王太子殿下に全てを捧げているよ。でも君の事は大事に思っているし、頼りにしている。ただ、結婚はできないというだけだ。これからも私の力になってくれるよね?」 「か、考えさせて下さい……」  エレナは消沈してリネン室から去って行った。
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