2.幼き日々の交流

2/4
前へ
/158ページ
次へ
 最初のうちは、近衛騎士や公爵家の護衛騎士は恐縮し、眠り込んでしまったパトリツィアを自分たちが運ぶとルイトポルトに申し出たが、ルイトポルトが譲らなかったので、そのうち騎士達は何も言わなくなった。だがパトリツィアが5歳の頃、ツェーリンゲン公爵家の新顔の少年護衛騎士がルイトポルトにお嬢様を運びましょうかと声をかけた。 「いや、私がやりたくてやっているんだから、よい」 「かしこまりました。差し出がましいことを申しまして失礼いたしました」 「お前、そう言えば見たことない顔だな。新人か?」 「はい、先月15歳になってパトリツィア様の護衛騎士に正式に任命されました。ゲオルグと申します」  パトリツィアやルイトポルトの祖父の世代ぐらいまでは社交界デビューする15歳が成人とみなされていたが、今では18歳が成人である。騎士学校を卒業して正騎士になるのなら、卒業直後の18歳から働き始めるのが普通だ。しかし騎士学校に通える財力のない平民の場合、10~12歳ぐらいから従騎士として見習いを始めて正騎士になるしかなく、その場合は実力があれば15歳で正騎士になることもできる。ゲオルグは、パトリツィアの乳母で今は侍女として仕えているナディーンの息子で、従騎士から正騎士に昇格してパトリツィアの専属護衛騎士の1人になった。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加