1.虐げられる令嬢

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 フラウケには長らく子供ができなかったが、リーゼロッテが7歳の時にようやく娘ヘドヴィヒを生んだ。それが難産でそれ以降、フラウケは子供を産めなくなってしまった。エーリヒは妻に内緒で色々な女を抱いているようだったが、リーゼロッテの母以降、愛人達にも子供ができる事はなく、リーゼロッテは政略結婚の駒として伯爵家に留め置かれた。  でもその割に待遇は悪いままで使用人同様の生活をリーゼロッテは送り続けざるを得なかった。エーリヒは、政略結婚の駒として使うつもりの割にリーゼロッテに関心がなく放置した。リーゼロッテは、継母フラウケと異母妹ヘドヴィヒにいびられてこき使われ、貴族令嬢としての教育も受けられなかった。  貴族の子女は、通常15歳で社交界デビューするが、リーゼロッテは15歳になってもデビュタントボールに参加させてもらえず、翌年もそのまた翌年もずっとデビューできないままだった。正妻フラウケが『こんな貧相な娘を参加させたらうちの恥になります』とエーリヒを説得したからだ。エーリヒも貧相な姿の娘を政略結婚の駒として使うのは無理と現実を認めざるを得なくなり、妻子がリーゼロッテをこき使うのを黙認した。リーゼロッテは、いつしか結婚適齢期の20歳を超えて22歳となり、嫁き遅れと言われるようになってしまった。  リーゼロッテは、別に結婚しなくてもいいと思っていたが、フラウケはたまにしか来ないリーゼロッテへの縁談を潰す癖に娘ヘドヴィヒと一緒になって『嫁き遅れの穀潰し』と罵ってリーゼロッテをこき使った。
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