20.身体を張った試み*

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 ヘドヴィヒは、ノロノロと屈み、口の辺りを扉の窓に当てた。 「もっと口を突き出して。チュウできないじゃん」  ヘドヴィヒが口を窓の中に差し込んだ途端、ブチューと唇を吸われ、ヌルヌルした舌が口の中に侵入してきた。口の中を散々舐めまわされ、生臭い息と唾液が口の中に流れてきてヘドヴィヒは吐き気がして涙が出そうになった。 「次はおっぱい」  やっと気持ち悪いキスから解放されたかと思ったら、やはり牢番は乳房を触りたがった。屈むのを止めて背を伸ばすと、ちょうどヘドヴィヒの胸の辺りが扉の窓に当たる。ヘドヴィヒは、囚人服を着たまま、窓に文字通り、胸を差し込んだ。 「ああ、柔らかい。乳首が立ってきてるよ。ヘドヴィヒちゃんも感じてるんだね。直接触ってあげるから、服をめくりなさい」 「あの……今日はこれでもういい? 急がないとばれるでしょう?」 「じゃあ、白パンだけでいいかな?」 「ヘドヴィヒ、触ってもらったって減らないでしょ」 「お母様!――ねえ、お母様の胸でもいい? お母様のも大きいわよ」 「ヘドヴィヒ!」 「ババアの垂れてる胸は触りたくもないよ。そんな事言うなら、白パンもなしだね」 「そんな!」 「ヘドヴィヒ、早くしなさい」  フラウケは、下賤な牢番に『ババア』と罵られた事も、ヘドヴィヒが自分の代わりに胸を牢番に触らせようとした事も相当頭に来ていたが、地下牢から出る事の方が重要だ。拳をきつく握りしめて怒りを我慢して娘をけしかけた。  ヘドヴィヒは、渋々囚人服の前を寛げて裸の胸を窓に差し込んだ。途端に牢番はニュルニュルと乳首を舐めまわし、もう片方の胸を揉んだ。乳首が牢番の口の中で尖ると、彼は乳首から口を離し、白い肌を強く吸って赤い痕をつけた。 「ああっ! いっ……!」 「感じているんだね。じゃあ、いいモノあげるよ」  胸から気色悪い手と舌の感触がなくなってほっとするのも束の間、ベチャベチャとを扱く音がした。が飛んでくると思ってヘドヴィヒが本能的に身をすくめると、すぐに生暖かくて青臭い液体がビチャッと胸にかかった。  いつもなら、身体を張る代わりにさっさともらう物をもらって気持ち悪い体液を拭く。だが、今日はもっと大事な物をもらえるように頼まなくてはならないので、心にもない事にヘドヴィヒは牢番を引き留めた。 「ねえ、頼み事があるの」 「なんだい?」 「便箋と封筒、ペンとインクを調達してほしい。それで手紙を書くから、その手紙をマンダーシャイド伯爵家に送ってくれる?」 「外部との連絡は禁止なんだけどなぁ……」 「そこを何とか」 「うーん。じゃあ、僕のコレを舐めてくれる?」 「え?!」
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