23.影の任務の副作用

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23.影の任務の副作用

 クーデター後、アントンはもう身体を張って情報収集する必要がなくなったが、多忙を極めてストレスが溜まり、王宮での仕事中に性欲が突然衝動的に高まる事があった。それでもむやみやたらに王宮で女性に襲いかかる訳にいかない。必然的にアントンが個人的に雇っている影が頻繁に相手になった。  その内の1人ペトラは、クーデター後、王宮で侍女をしながら元宰相派の残党や不穏分子を監視しており、その合間に性欲が昂ぶってしまったアントンの相手もしている。ペトラも王宮の仕事中に発情発作に襲われる事があるはずだが、彼女からは誘ってこないので、自慰で済ませているのだろう。  ついこの間も、アントンは突然衝動に駆られてペトラを急いで探し、物陰に押し込んで後ろから身体を繋げた。アントンは3度中出ししてやっと発情発作が収まり、ペトラを解放した。 「ペトラ、ありがとう。助かったよ」 「アントン様、避妊薬をお願いできますか」 「すまん、この間渡したのが最後なんだ。クーデター後、薬品の輸入が滞って中々手に入らない。入手したらすぐに渡すよ」 「そうですか。それなら私は10年以上避妊薬を飲んでたから大丈夫だと思います」  長期間、避妊薬を服用すると不妊になりやすい副作用があった。ペトラは家族を持つのを諦めていたし、調査対象者の子供を産みたくはなかったから、影の規則に従って服用していた。でも今はハニートラップにかける調査対象者はおらず、ペトラが関係を持っているのはアントンだけだ。だから父親の分からない子供ができる可能性はない。万一できたら、アントンの前から去って1人で産もうとペトラは考えていた。でも妊娠する可能性はおそらくほとんどない。
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