雨上がり殺人事件

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 俺の名前は金田一陽燦(はるあき)。  都会の隅っこで小さな探偵事務所を開いている。  店名は「探偵金内二(かねないに)悲惨(ひさん)事務所」  お得意様は、警視庁の捜査一課の刑事さん、内二(うちふ)耕介(こうすけ)。  実は従兄弟で母が姉妹なのだ。    親は離婚しているが耕介の実父は警察庁のかなり偉い人で、そのお陰で融通は頼める。  ただ、耕介も変人で東大に行ける頭脳を持っていながら高卒で警察に入った変わり者。そこは昇級試験も受けさえすればすべてトップ合格。  だから若くして警視庁の捜査一課に配属されたんだ。親の裏工作ではない、と思う。  まぁ、いい。  記憶力は天才だが想像力が幼稚園児より劣る耕介がいつも頼るのが俺だった。  俺が解いたトリックで、何度も犯人を捕まえている耕介は今では署内でも注目をされ始めている。  そして、この春から捜査一課に配属された女性刑事が憧れるのも耕介だった。  今日は、その女性刑事から相談を受けて私が指定したコーヒーとチーズケーキが美味しいこの喫茶店で待ち合わせをしている。
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