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土曜日の午前。
大抵の国民が休日という名の癒しに怠惰を満喫してるであろうとき。
風は花の香りを運び私たちの家まで届く。
「はぁ……私の気持ちも届いたらいいのに……」
手には1枚の手紙。
俗に合うラブレターってところだ。
手紙は私の心と対照的に揺蕩う。
「姉ちゃん……そればっかで全然渡そうとしねぇじゃん。書いたらなら早く渡せよ」
口うるさい弟の声が耳に入る。
簡単に言ってくれるものだ。
「全く……これだから思春期前のお子様は……」
弟は10歳。
まだ反抗期も思春期も来ていないお子ちゃま。
一方私は花のJK。
「JKの恋の悩みは複雑なのですよ。よく覚えておきなさい」
「そういうもんかね?」
弟は心底めんどくさそうにゲームをしながら私の話を受け流す。
「そういうものなの!あんたはまだ恋人できたことがないからそんなことが言えるのよ!」
「いや居るし」
ほら……って、えええ!?
「は!?あんた恋人いるの!?」
「あ、言ってなかったっけ?」
「聞いてない聞いてない!!どんな子どんな子??くっそ〜弟に先越されたよ〜!!」
「姉ちゃん、うるさいから黙って」
またこいつはゲームにご執心だこと。
こいつのどこがいいんだ!!
彼女さんの見る目はあるのか!?
「はぁ……緊張感無く渡せたらどんなに楽か……」
「……緊張がなければ告白できるのか?」
弟は急に口を挟んでくる。
「…?……うん、多分」
「よし……」
弟は立ち上がり決意の拳を握る。
「じゃあ練習あるのみだな」
弟は意地の悪い笑みを浮かべる。
嫌な予感に鳥肌が立った。
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