告白に勇気を添えて

9/10
前へ
/10ページ
次へ
「いい加減告白しろよ〜」 「今年は諦めます!寝ます!ありがとうございました!!」 「だめだ自暴自棄になってやがる」 今、私は布団に包まって不貞腐れている。 1100円の損失を出した挙げ句のはて、今年は恋愛をするなと神様に言われてしまった。 もう無理。 世界はいつからこんなに不条理になったんだ。 「姉ちゃん、出てこい。布団から」 「やだ」 「無駄な抵抗はやめろ!お前はすでに放置されている!大人しくでてきなさい!」 「私は立てこもり犯か!!」 思わず布団から飛び起きてツッコミを入れてしまう。 「姉ちゃん」 するとそこにはいつもより優しい声音の弟がいた。 それは諭すような声だった。 「……なに?」 「姉ちゃんの好きなやつのこと、俺はよくわからない……けど、占いで告白するのを辞めるってことは……その程度の恋だったのか?」 「そんなわけない!!小学5年生のときから好きだったのよ!!」 「え、そんな前から?」 「そうよ!……ずっと片思いだったけど……JKになったし告白してみようかなと思って……」 弟は意外とでも言いたげな顔をする。 私は意外と奥手なのだよ……。 「……恋で一番信じるべきなのは占いじゃないぞ」 「……じゃあ何を信じるべきなのよ……」 弟ははっきりと私の目を見据えて言った。 「自分だ」 「!?」 「姉ちゃんは自分を信じきれてないから告白に踏み込めないんだ。自分なんか自分なんかってうじうじしてたら、好きなやつ取られるぞ?」 「……」 「砕けたっていいんだ。あたって砕けてを繰り返して、本当に自分を大切にしてくれるやつに出会っていけばいい……そうだろ?」 「……あんた、何歳?」 私は素朴な疑問を口にした。 ほんとにあんた何歳よ。 私より年上でしょ絶対。 「10歳」 「嘘つけ!!」 「いや、姉ちゃん俺の誕生の瞬間見ただろ」 「見たよ!見たけど幻覚だったかもしれない!!」 「姉ちゃん、俺、ここにいるからな?いま」 信じられない。 こいつほんとに年下? あ〜でも…… 「……ありがと」 「え?」 「私、頑張るわ」 少し、勇気が出た。 そう、自分を信じてあげなきゃ……誰が私を信じてくれるんだ!! 「お〜頑張れ〜。かけといてやったから」 「おまじない?なにそれ?いつかけたの?」 「だいぶ前から」 弟はいたずらっ子のような笑みを浮かべる……いや、いたずらっ子だな。こいつは。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加