1人が本棚に入れています
本棚に追加
「いい加減告白しろよ〜」
「今年は諦めます!寝ます!ありがとうございました!!」
「だめだ自暴自棄になってやがる」
今、私は布団に包まって不貞腐れている。
1100円の損失を出した挙げ句のはて、今年は恋愛をするなと神様に言われてしまった。
もう無理。
世界はいつからこんなに不条理になったんだ。
「姉ちゃん、出てこい。布団から」
「やだ」
「無駄な抵抗はやめろ!お前はすでに放置されている!大人しくでてきなさい!」
「私は立てこもり犯か!!」
思わず布団から飛び起きてツッコミを入れてしまう。
「姉ちゃん」
するとそこにはいつもより優しい声音の弟がいた。
それは諭すような声だった。
「……なに?」
「姉ちゃんの好きなやつのこと、俺はよくわからない……けど、占いで告白するのを辞めるってことは……その程度の恋だったのか?」
「そんなわけない!!小学5年生のときから好きだったのよ!!」
「え、そんな前から?」
「そうよ!……ずっと片思いだったけど……JKになったし告白してみようかなと思って……」
弟は意外とでも言いたげな顔をする。
私は意外と奥手なのだよ……。
「……恋で一番信じるべきなのは占いじゃないぞ」
「……じゃあ何を信じるべきなのよ……」
弟ははっきりと私の目を見据えて言った。
「自分だ」
「!?」
「姉ちゃんは自分を信じきれてないから告白に踏み込めないんだ。自分なんか自分なんかってうじうじしてたら、好きなやつ取られるぞ?」
「……」
「砕けたっていいんだ。あたって砕けてを繰り返して、本当に自分を大切にしてくれるやつに出会っていけばいい……そうだろ?」
「……あんた、何歳?」
私は素朴な疑問を口にした。
ほんとにあんた何歳よ。
私より年上でしょ絶対。
「10歳」
「嘘つけ!!」
「いや、姉ちゃん俺の誕生の瞬間見ただろ」
「見たよ!見たけど幻覚だったかもしれない!!」
「姉ちゃん、俺、ここにいるからな?いま」
信じられない。
こいつほんとに年下?
あ〜でも……
「……ありがと」
「え?」
「私、頑張るわ」
少し、勇気が出た。
そう、自分を信じてあげなきゃ……誰が私を信じてくれるんだ!!
「お〜頑張れ〜。おまじないかけといてやったから」
「おまじない?なにそれ?いつかけたの?」
「だいぶ前から」
弟はいたずらっ子のような笑みを浮かべる……いや、いたずらっ子だな。こいつは。
最初のコメントを投稿しよう!