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「鉛筆で描いた部分が穴になる。机に描いても机を貫通するわけじゃない。で、合ってる?」 「うん。円を描いても円の内側が落ちてくことはないしね。鉛筆みたいに描けて、描いたとおりに穴が空く」 「なんでそんなことに」 「黒を突き詰めたらそうなったみたい」 「未来人の考えることはわかんないな」 「大して変わんないよ。今も未来も」  なぜか黒部さんは苦笑を浮かべた。  その表情の意味もわからなかったが、そんなことよりわからないことが多すぎる。 「この穴ってどこに繋がってるの?」 「どうなんだろ。聞いたことないなあ。異世界とかじゃない?」 「そっか。じゃあよかった」 「なにが?」 「僕の無限ゴミ箱が誰かの迷惑になってなくて」 「どんな使い方してんのよ」 「消しカスとか捨てるのに便利なんだよ」  黒部さんは僕の机の端に描かれた歪んだ黒円をちらりと見た。  呆れたような、でもどこか楽しそうな微笑みを浮かべる。 「てか他人のもの勝手に使わないでよね」 「ごめんなさい」 「あはは、いいよ。許したげる」  落とした私も悪いしね、と彼女は笑う。  拾ったものとはいえそれを勝手に使ったのはさすがにまずい。怒られても仕方ないところだが、黒部さんは快く許してくれた。  と、思っていた。 「あ、やっぱり許さない」 「え、そんなことある?」 「うん。そんなこともあるの」  突然の撤回に戸惑っていると、彼女はさらに言葉を続けた。 「だから罰として、100Bの素敵な使い方を考えてください」  
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