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「……どういう、ことでしょう……?」
そんな私の問いに、先ほど以上に唖然とした様子で尋ね返す先輩。私は少しだけ頷き、再び口を開いて――
「女嫌い――そのような噂が遍く浸透しているにも関わらず、告白する生徒が後を絶たない……そのような状況に、貴方は嫌気が差しているのではありませんか?」
「……それは」
「なので、私をいわば女避けに利用すれば宜しいかと。自分で言うのも何ですが、容姿には多少なりとも自信がありますし、既に周囲からも一定を評価を得ています。三年生の間でも、多少なりとも私のことを耳にする機会があるのではないでしょうか」
「…………」
そう伝えると、少し顔を逸らし口を結ぶ先輩。それから、少し間があった後――
「……いえ、そういうわけにはいきません。僕の身勝手な都合で、貴女を巻き込むわけにはいきませんから」
そう、ゆっくりとした口調で告げる。……まあ、やはりそうなるでしょう。貴方は、そういう人ですから。なので――
「――それでは、ちょっとした契約をしませんか?」
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