桃色初カノジョ

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桃色初カノジョ

 何がどうしてこうなったのか、俺は二度目…いや二週目の人生を歩んでいる。  以前の記憶もちゃんとあって、その上で俺、なんと人生リトライできる!  よし。    中学高校と勉強で遅れをとることはなかったが、慢心せず、例のブラック企業を全力回避するため月単位で人生目標を設定し、慎重に日々を積み重ねていった。  そして大学三年、この正念場で俺は就職先を、従業員への好待遇に定評のある優良企業に決めた。BtoBなので一般知名度はそれほどでもないが一部上場だ。これで人生安泰。やったぞー!    社会人になって三年が過ぎた。  週末に家でダラダラ動画を見ながら、この安息を嚙みしめる。  残業は月二十時間。週二でジム通いができる。素晴らしい。  これが永遠に続けばなぁ。しかし何か物足りない気もする…? ん。電話が。 “よっ、元気か?”  黄田か。  今世では大学時代に、国際交流サークルで知り合うことができた。 “今度後輩の女の子と飲むことになってさ。お前いま彼女いる?”  合コンかぁ。 「いやァ今はいないな。休日はひとりでゆっくり過ごしてるし、社内では女性に好意見せるとセクハラ扱いだしな」 “だよな。ま、気晴らしにでも”    …そうなんだよなぁ、今の生活も悪くはないが。  高校時代は男子校、大学は男子率高い経済学部、なにより自己実現第一に動いていたから、恋愛だのは余裕が出来てからでも…と思ってたんだ。  いつかは両親に孫の顔を見せてやりたいし、そろそろ第二の人生を考えてもいいか。  と、余裕かまして合コンに出向いたら…  わぉ! みんなイイッ!  眩しい…ここは春の野原… 「赤井さん?」  女子勢に見惚れて固まっていた俺の隣に、ぴょこんと座った小柄な子…可っ愛ぃ。ゆるく巻いた栗色の髪に、大きな丸襟から伸びる細い首… 「はい。えっと…」 「桃花です。赤井さん、あまり飲んでなくないですか?」 「うん、それほど強くなくてね」  俺のグラスを覗き込む彼女がそのまま上目で見てくる。ツヤツヤ唇がぷっくりしてる! 「私、大学四年なんですけど、就活うまくいってなくて」 「大変だよね。当時はどこにも内定もらえないんじゃないかって冷や汗が止まらなかったよ」  なんてね。 「俺で良かったらいつでも相談に乗るよ」 「ほんとですかぁ? 嬉しい!」  ごく自然に連絡先を交換できた。気を良くした俺は彼女に注がれるままに深酒していた。 「はっ! 朝?」  バチッと目覚めたら、え、ここどこだ? 俺の部屋じゃないぞ?  薄ピンクの布団カバーに…  俺は裸…って隣に寝てるのは桃花ちゃん!?  やっちまったのか俺?? この状況で潔白って言えるわけない…何も覚えてないけど!
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