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happy dead end
「おまえがシルヴィオか」
シルヴィオが第一王子アルベルトと初めて顔を合わせたのは、五歳のときだった。
祖父が国王の補佐を務める関係上、同年齢ということもあって王子の遊び相手に抜擢されたのだ。シルヴィオとしては、知らない子と仲良くしろと言われて気が重いだけだったが——。
彼を目にした瞬間、息を飲んだ。
さらさらの艶やかな黒髪、宝石のように澄んだ紫の瞳、白くなめらかな肌、かたちのいい薄い唇、完璧といえるほど整った造形——いままで見たひとのなかでいちばんきれいだと思った。
「よろしくな」
「あ……」
ぼうっと見入っていたら、うっすらと笑みを浮かべて手を差し出された。
おずおずとその手をとったとき、そのやわらかさとあたたかさにビックリして鼓動が跳ねた。こうして彼に触れていることを何だか不思議に思いつつも、いつまでもドキドキが止まらなかった。
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