虹を見ながら家路につこう

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 雨が降ってきた。天気予報通りだ。  用意しておいたレインブーツを履き大きめな傘を持って外に出る。  霧雨ではない、大粒ではない、大雨でもない丁度良い降り方だ。  傘を忘れて走る人、折りたたみ傘からはみ出した荷物をかばう人がいる。  家に急ぐ人を見ながら歩き出す。  一歩進むたびに曲がり角に人が消えていく。  そう、街にいるのは私だけ。  雨が周りの音を防いでくれる。  雨の音が包んでくれる。  誰もいない世界を彷徨うのが好き。  行き先を決めずに。  時計を気にせずに。  虹が出るまで   了
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