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如月はそんな不安顔のまゆ子を一瞥して、天井をしばらく見上げ、ハッとひらめいた表情をする。
「……今、家には君しかいないようだが、同居の家族は何人いる?」
突然、質問する転入生。
「へ?今はひとり暮らしだよ。きょうだいはいないし、母は亡くなってて」
まゆ子はチラリと仏壇の写真を見る。
「父は海外出張中。12月末には帰国するけど」
まめに連絡はとっているが、帰ってくるまで2ヶ月半ある。
すると如月はうつむき、端正な顔をニヤリと歪ませる。
「え?なに?」
「どうかされましたか?兄さま」
戸惑う2人。
「ちょうどいい」
低い声でそう言い、顔を上げた如月は黒い笑顔を浮かべていた。
まさに悪巧みをする悪魔の笑み。
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