一章

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「あ、正美~」  江角が頑なに言った。・・・・・水葉は今は居ないらしい、もしかしたら来ないかもしれない。  夜の街に安定の文字は無い。  嘘で紛れて居るからだ。 「あ~江角じゃん今日来てたんだ~・・・・知ってる?今日本店から配属された奴が来るらしいよ」  正美は口調を棘に変えた。・・・・・そして正美は、窓の無いが一番端のパソコンとキーボードがくっついてる白いノート型パソコンが閉じて置いてある、作業台のような机に設置してある、背もたれのある椅子に座った。・・・・・この椅子はキャスター付きの事務椅子だ。・・・・色は薄い黒だ。・・・・・・・・その理由は、正美の好きな色だからだ、もちろんその事だけではない。例えば黒の色の椅子に座ると安心するまぁそんな事は無いがな。・・・・・・でも正美の人生を辿って行くと今話した事も十分あり得る。 「そんな事聞いてないけど正美」  江角がタバコの匂いのする口を開いた。・・・・・・ここの事務所では、花以外の事務員がタバコを吸って居る。特に正美はヘビースモーカーだ、でも不思議と口は言うほど臭く無い、むしろ甘い匂いが正美が喋ると漂うのだ。 「だろうね、私今ボーイ達の話盗み聞いたばっかだから」  正美は目付きを変え、椅子のキャスターを動かして、化粧の濃い江角の方に椅子を向け自分も椅子に乗っているため江角の方に体が向いた。・・・・・・・・そして、さっき花にしたように刺すような視線で江角を見た。  江角は花と同じように少し怖がったのか、正美の刺すような視線から逃げるようにして、白の椅子のキャスターを動かして、肌色の机の上に置いてある、開かれたノート型パソコンに椅子と自身の体を向けて、少しゾワとしたのか首を振り仕事を始めた。  そのため正美は、またキャスターを動かして、ノート型パソコンが開かれてロック画面になって置かれて居る机に自分と椅子を向けた。  その頃花は、正美と江角の真後ろの白い壁の中に、外のドアと同様に鉄製のドアが付けられた壁の真ん中から鉄製のドアを開けて入った。  ここの部屋に入るには鍵が必要だ、もちろんこの鍵を持って居るのは、花,ボーイの幹部,支店長,社長の仁一,だけだ。  どうして花がこんな重要な鍵を持って居るかというと、  (頭が良くて、裏切らないからなんだって)  そう今花が鉄製のドアをゆっくり閉めて思った通り、頭が良くて,裏切らない,その条件を何よりも仁一が大事にした結果花が選ばれた。  そんな重要な仕事を任された花は自分を少し誇りに思って居ると、正美,江角,水葉,は思って居る。・・・・・特に正美は、花の任された給料のいい仕事を先に取られてしまったと花に憎しみを持って居る、でも正美はその気持ちを表に出さずに、花に接して居る。・・・だから花は正美と仲がいいと思い込んでいる。  そして、花は後ろに振り返る、この部屋には防犯カメラは無い、だから花は行き良いよく後ろに振り返った。そしたら、どこから入って来たか分からない、黒いスーツがとても似合う三十五歳手前の男が花のお気に入りの時々座るライニングチェアに堂々と気持ちよさそうに目が半分閉じて座っていた。・・・・・・その黒いスーツの男は組み合わせの悪い言葉を使って花に、 「あ、君あの子か~て誰だっけ?・・・・・・あ~あの子か、俺は~確か、七海鬼神,です」 滑舌が悪いながらも内心真剣な事が分かる声で言った。・・・・・・・・少し鬼神には天然的な障害的な性格らしい。 「あ、、、、、、え?誰ですか?新しいボーイさんですか?」 花は驚きを隠せないようだ。・・・・・・・・花の脳に過ぎる、やばい,この人は何?,と動揺した仕草は表に出さずに頭で考える花。 「そうか、俺のことは聞いてないのか、う~んなんていうかな?・・・・・・・・・じゃあこう言えば大体は分かるか、本店から配属された者で~す」 鬼神は言った。 花はハッとしたような顔に変わりつつ、首を傾げ、白く雨漏りをしてカビが生えた花の勤務部屋の天井の端の方を見ながら考えた。 昔から花は答えが分かっていても何度も何度も考えてしまう癖がある。・・・・・その理由は紛れも無くこの繁華街で生まれたから、無意識に危機感を覚え、詐欺に遭わないよう何度も同じ事を考える、その甲斐あってか今の今まで詐欺に遭った事も危険な事をした事もされた事も無い。 「あ、、、、、やっぱりそうですか、待ってました、正美さんと江角さんを呼んで来ます」 花は自分のスニーカーが見えるほど俯いた。・・・・・・・・・そして、ふっと前を向き、後ろの鉄製のドアの銀に光るドアノブに手を伸ばすため後ろを向うとしたその時、鬼神がこう、 「いやいや俺は君と話したいんだ・・・・・・ここの繁華街で生まれ育った唯一の君とね」 言った。 その時の鬼神は無理矢理にカッコ付けていた。・・・・・・花の体に寒気が覆うようにして纏った。・・・・・あまりに鬼神のカッコ付けるのが気持ち悪かったのだろう。 (え・・・・・・・せっかくイケメンなのになんだかゾワってきちゃう) 花は慣れ果てみたいに立ち尽くし鬼神を見つめた。 そんな花を見た鬼神は思う (もしかして俺に惚れてる?) ありもしない事を・・・・・。・・・・・・よく鬼神は女に好かれるし嫌われる、その理由はウザイのとイケメンだからだ。   そして、花は苦笑いを浮かべ鬼神に声を細めて 「え、あ・・・・・はいわかりました........」 言った。それを聞いて花の斜め方向に座って居る鬼神は、楽しそうな笑顔を浮かべた。 でも花は少し鬼神を怖がって居る様子だ、それもそのはず、この部屋には防犯カメラも無く防音になってて正美達はこの部屋に入ることが出来ないし、最後の一手は男性と女性が二人きりということだ。 もちろん鬼神は花の事をレイプしようなんて一ミリも思って居ない。・・・・・・・・ただ花と話がしたいだけだ。 「おーおーありがとね、じゃあ早速質問させてもらうね、、、、、、どうしてこのキャバクラの支店にアルバイトじゃなくて正社員として入社したの?」 鬼神はリクライニングチェアからゆっくり大人のように立ち上がった。・・・・・意外にも背は高く、百八十センチ以上あった。 その事もあり、花は怖がり、二歩後ろに下がって、鉄製の冷えたドアに背中をぶつけた。
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