高貴なる吸血鬼印トマト

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高貴なる吸血鬼印トマト

 見るがいい、我が絢爛たる薔薇の園! ……ではなく、トマト農園を。  我ら吸血鬼と言えば、その名の通り、人の生き血を啜るものとされる。しかし我が一族は、血の代わりに飲んでいたトマトジュースにどハマりしてしまってな。先々代からこうして栽培しておる。改良を重ね、果実はますます美味なる旋律を奏でるに至っておるぞ。六年前から人里に出荷もしていてな。評判も良い。中には我を「サステナブルな新時代の吸血鬼」と評する者もおるようだ。  甘美にして酸い太陽の果実は今が旬。トマトスープにするのが良かろう。我はニンニクが苦手ゆえ、香り付けにはハーブを推奨する。東の国の乾物・シオコンブを隠し味にすると、味に深みが出て美味いぞ。
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