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恋味アクアリウム
君と初めてのデートで行ったのは水族館だった。
「最近一緒に出かけられなくてごめんね。仕事がひと段落したら、また行こう」
そう言って君が買ってきたのは、ボトルアクアリウムを模したお菓子。妖精と魔法使いのパティシエが魔法をかけて仕上げたんだとか。透き通った水色のゼリーの中で、色とりどりのグミでできた熱帯魚たちが、水草代わりのハーブと戯れる。あの日、君と手を繋いで見た色だ。思い出によく似た光景をスプーンですくい、口に運ぶ。ソーダ味のゼリーに包まれて、グミの魚がぷるりと踊った。
「さっぱりしてて美味しいよ」
そう言って君のほうを向いたら、ふと重ねられる唇。あのときもそうだった。キスの味はいつだって甘酸っぱい。
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