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香り弾ける形而上豆のサラダ
図書館に併設されたカフェでは、形而上豆のサラダが食べられる。形而上豆は一粒がビー玉ほどの大きさで、薄い皮の中は空洞だ。しかし、哲学書を読み上げながら茹でることで、豆の中は独特の香りで満たされる。この香りは唱える文章によって変化するのだが……今日のサラダはさて、いかに。
豆を複数、ころころと口に入れて、咀嚼する。皮がぱちぱちと弾けて広がったのは、レモングラスに似たさわやかな芳香だ。メニューには司書の手書きコメントが書いてある。
「今日の形而上豆のサラダには『魔法使いの善と悪』を使用しています。魔道倫理学を学び始めた方にも読みやすい本です」
このように、図書館の利用促進にも一役買っている名物料理なのだ。
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