冬の夜の月明かりゼリー

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冬の夜の月明かりゼリー

 夏の暑さに参ったら、冬の冷気を使ってゼリーを作る。半年前の冬の夜、雪原を照らす月明かりを集めて、魔法のポットにためておいた。その月明かりを鍋に移し、水飴と、透明な深海魚から抽出したゼラチンを入れて、弱火で温める。月の光が蒸発して消えないように注意すべし。鍋の火を止め、粗熱を取ったら、小さなカップをいくつか用意して、ゼリー液を注ぐ。あとは冷やし固めて完成だ。  濃紺のゼリーの中には、ちかちかと月明かりの欠片がきらめく。柔らかなゼリーを口に含めば、そこは静まり返った冬の夜。暗く、冷たく、優しい月の眼差しがとろける。月明かりの欠片は、シャリシャリと雪を踏む食感。  暑い夏だからこそ、冬の良さが楽しめるのだ。
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