2 うたたねのあとで

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 リダは唇を噛みしめて答えられない。  こんなことが知られてしまったら、また両親をがっかりさせ、さすがの姉すらあきれさせてしまうに違いない。 「弱ったな……すまない、からかいすぎたようだ。謝罪する」  青年は姿勢正しく片膝をついて謝ってくれたが、そもそも彼は声をかけてくれたのに無視したのはリダだ。  彼は悪くない。  せめてそんな思いだけは伝えたくて、リダは弱々しくかぶりを振った。 「慰めにはならないかもしれないが、きみはたいして眠ってはいない。マントもあったし、寝顔なんて誰にもさらしていないから安心してくれ」  それでもまったく気は休まらなかったものの、青年にこれ以上迷惑をかけたくない。  リダが小さくうなずいたとき、森から騒ぎが近づいてきた。  青年がすばやく近くの弓矢を取った。 「予想どおりだ、こっちに追い立てられてきたな」  楽しげなその言葉が終わるか終わらないかのうちに、木々のあいだに鋼狼(こうろう)の巨躯が現れる。  赤く光る凶暴な目に狙いをつけられ、リダは恐怖ですくみあがった。 (こっちに来る!)
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