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3 裏切り
「リダ、お願いだからわたしには正直に言ってちょうだい。クローディス殿下とは何をお話ししたの?」
クローディスと一団が帰ったあと、部屋に戻ったリダは、ヴァレリアに問い詰められて困り果てていた。
「音楽とダンスを見せていただいて、わたしが拍手をしたらそれはどういう意味かと尋ねられました。ですから、すばらしかったからですとお答えして。それだけです」
何度もそう説明したのに、ヴァレリアは納得してくれない。
ついには長椅子のリダの隣に座りなおし、手を重ねてきて顔をのぞきこんでくる。
「リダ、相手が誰であろうと、あなたが我慢して合わせる義務なんてないのよ。狩猟会で何か調子のいいことを言われて、今回もまたそうだったのでしょう?」
青い両眼には真剣な表情が浮かんで、怖いくらいだ。
リダはまた頭がくらくらしてきた。
愛情あふれるあまり心配性な姉を安心させようと、なんとか笑顔を作る。
「いいえ、お姉さま。狩猟会のときは体調が悪くなったところを助けていただいただけですし、今回も演奏のあとはすぐにお帰りになりました。たぶんクローディス殿下は、何もできないわたしに同情してくださったんですわ」
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