3 裏切り

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 リダは少しだけ嘘をついた。  ゆっくり話したいと言われたこともだが、特に似非者(えせもの)という彼の自称を聞いたことは絶対に隠しとおすつもりでいる。  それは似非者であるリダへのたわむれだったのかもしれない。  だが、もしかしたら同じ瑕疵(かし)を持つ者への真実の告白だったのかもしれない。 (今度ゆっくり話したい、とおっしゃって、でもいざいらっしゃったらそんなことは全然なくて)  クローディスとの会話は最低限のものでしかなかった。  だが魔力を持たない平民たちの演奏とダンスをともに楽しみ、そのすばらしさを共有したことは、多くの言葉を費やしたのと変わらないくらいの充足感があった。 「リダ、本当の本当に? あなたからも何も言ってはいないの?」  重ねられたヴァレリアの手に力がこもった。  リダはついに鈍い頭痛をおぼえはじめた。  顔がゆがみそうになるが、我慢する。 「ええ、お姉さま。クローディス殿下が気まぐれな方なのでしたら、きっとこれもそうなのだと思います」
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