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その間も彼はリダを見つめていた。
リダは困った。
（わたしはただ、お姉さまにつれてこられただけで──）
それでも何か言わなくてはならない気がした。
リダは迷いながらも口をひらいた。
だがそれよりも早く、今度は眉を跳ねあげたヴァレリアが鋭く言った。
「どこまで無礼を重ねられるおつもりですか！ 乱暴な言葉づかいで人を貶めるとは、たとえクローディス殿下であろうと見すごせません！」
クローディスは目をすがめて苦笑した。
「だが俺が、僕だの私だのと丁寧な挨拶と礼を尽くしても嘘くさいだろうし、実際に嘘だ。それに俺は、招かれざる客をもてなすほど親切にもできてない」
「わかりました、それではわたしも単刀直入に申し上げます。妹を暇つぶしのおもちゃにすることはおやめください」
ヴァレリアはぴしりと背筋を伸ばして言い放った。
すがめられた目はそのままだったが、クローディスの顔から笑みが消えた。
彼の反論を待たず、ヴァレリアはさらに言い募る。
「妹は体が弱いのです。気も弱く、クローディス殿下に困っていると訴えることもできません。これ以上妹を苦しめないでくださいませ」
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