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リダは息を詰まらせた。
(お姉さま、わたしは──)
ヴァレリアが優しく微笑みかけて、手を重ねてくる。
妹のために戦う姉の満足感が伝わって、鈍い頭痛と倦怠感がまたやってくる。
(わたしは……)
クローディスが無言で自分に問いかけていることはわかるのに、頭に広がっていく靄で考えがまとまらない。
リダの手をしっかりと握る姉の白くやわらかな手の感触だけが、やけにはっきり意識される。
そうして姉は、クローディスに不敵に微笑みかけた。
リダから手を離し、そのまま中空へと差し伸べる。
直後、光と影とがクローディスの周囲で踊りはじめる。
美しくもどこか不穏な動きをはらんだ光と影はみるみる激しさを増す。
(お姉さま!?)
リダは声にならない悲鳴をあげた。
鋭く輝いた小さな光の矢が、クローディスの濃色の髪をひと房断ち切ったからだった。
勝ち誇ったヴァレリアの声が響く。
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