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4 舞踏会での約束
大舞踏会のための準備もひととおりすんで、時間ができたヴァレリアは頻繁にリダの部屋を訪れるようになった。
東翼宮で体調を崩したリダを心配してのことだ。
体調は戻ったというのに、リダに許されるのはせいぜい長椅子に座ることくらいで、それ以外のことをしているところを見つかるとすぐにベッドに追いやられてしまう。
リダは長椅子の隣に陣取ったヴァレリアに訴えた。
「お姉さま、本当にもう大丈夫ですから」
「何を言っているの! やっぱり東翼宮にも、わたしがなんとしてでもひとりで行くべきだったわ。ごめんなさい、リダ」
ヴァレリアはリダの手に自分の手を重ね、笑顔になった。
「でも、もうこれで大丈夫よ、リダ。二度とクローディス殿下に悩まされることはないわ。もしそんなことをすれば、わたしが皆にクローディス殿下の魔力が怪しい、わたしの魔力を防ぐこともできなかったと話すもの。あのときと同じように、今度は皆の前でしてもいいわね」
そう言われると、リダの頭に靄がかかって鈍く痛み出す。
だがこんなささいな頭痛など比較にならないほど、もっと苦しめてしまった人がいることばかりが気にかかる。
(クローディス殿下──ごめんなさい──)
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