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だからあんなにも謝りたかった。
できれば許してもらって、またクローディスと同じ思いを共有したかった。
「……クローディス殿下は、わたしのような者にとても優しくしてくださいました。わたしが初めて会った、本当の意味で優しい方です。ですがまさか、今夜も来てくださるつもりだとは思いませんでした」
「似非者の令嬢がいて、しかもそれが理由で家族からも軽んじられているなんて、気になるに決まっている」
クローディスは真顔になると、いたわしげにリダを見つめた。
リダはふるっと震えた。
遠くから言葉ばかりの同情をかけるのではなく、すぐそばに来て助けようとしてくれている顔だとわかったからだった。
「ただのうわさならいいと思っていたが、狩猟会のとき侍女もつかずにひとり眠ってしまったきみを見て、事実だとわかった。なのにきみはそんな境遇に耐えるばかりで、無礼な男に怒ることすらできなくなってしまっていた。だから思い出してもらいたかったんだ。魔力などなくても、できることはいくらでもあると」
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