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クローディスはそこでまた笑みを浮かべた。
「もう思い出しただろう? きみは自分の望むことができる。姉に止められようと舞踏会に来て、俺を見つけて会いに来ることができる」
「──はい」
リダは彼を見つめて言った。
短い、嘘のない、これからもそうするという約束だった。
クローディスの笑みにそんな自分の思いが伝わったことを知ってリダは微笑み返そうとし──だがそうできなかった。
(わたしが、望むことができるなら──)
ひとり舞踏会を真似たときのように体が動き、リダは吸い寄せられるようにクローディスとの距離を縮めた。
視線を彼から離せない。
そして笑みが消えた彼の視線もまたリダから離れない。
リダの手が持ちあがり、クローディスがつられるように手を差し伸べた、そのとき。
「──リダ、何をしているの!」
中庭にヴァレリアの声が響いた。
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