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聞きたくなかった言葉がついに聞こえて、すうっと血の気が引いた。
それまで前で堂々と馬を進めていた両親の背中もこわばって、それを見たリダの両眼に涙がにじんだ。
貴族であれば、誰もが魔力を持つ。
キャシアス侯爵家の者もその親族も、当然全員が魔力を持つ。
(なのに、わたしひとりだけ──)
貴族とは名ばかりの、平民と同じくなんの魔力も持たない無能力者。
貴族が何よりも疎み、軽蔑する存在。
それがリダだった。
──まあ、聖女の妹が似非者なのですって?
──同じ家に生まれた姉妹だというのに、運命とは残酷なものだな。
──お顔立ちもまったく似ていませんものね。
リダはうつむき、なんとか顔だけでも隠そうとした。
「──リダ」
ヴァレリアに呼ばれて、リダは顔をあげた。
姉は優しく微笑んで手を伸ばし、リダの震える手を握ってくれた。
「あなたはわたしの世界で一番かわいい妹なのよ。今日も一緒に狩猟会に来てくれて、わたしが見立てたドレスも着てくれて、こんなにかわいい妹なんてほかのどこにもいないわ。それではだめ?」
リダは涙をこらえて笑顔を作った。
「お姉さま、ありがとう」
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