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残念な血を色濃く分けてくれた父だが、いろんな国を飛び回って忙しいなか、結花を大事に育ててきたのを、彼女もまた理解している。
「パパは忙しかったなりに、私を大事にしてくれたよね」
「あぁ、そうだ。しかし、考えを改めねばならん」
ただならぬ一郎の表情に、結花は少しだけ嫌な予感がした。
――――この男、たまに、天地がひっくり返るような、おかしなことを言い出すからだ。
(……なんだか嫌な予感しかしない)
そして、一郎は、大きく息を吸ったあと、高らかに言いきった。
「来週から、お前はパパの会社で働いてもらおう!!」
「は、はたらく……」
つまり、お仕事……?
急展開に、結花は耳を疑った。
「いや〜、ちょうど親友の陽咲の会社でなぁ、人手が欲しいと言われていたんだよ」
「ヒトデ……」
一郎は「うん。パパって天才。いい案だ」なんて言いながら笑顔を見せる。
結花は困惑しながらも縮みあがった。
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