プロローグ 破談の見合い

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 そこは、東京都に本社自社ビルを構えている、タケモトホールディングスと最も強固な関係にあるグループ企業だ。    自社で化粧品の開発製造・販売を主な事業としており、化粧品の国内売上はダントツ第一位。  世界でも五本指に入るほどの知名度と実績を持っている美容化粧ブランドを展開している。  そして、幸運なことに、高級感住宅街であるここから、出勤も徒歩で通える距離にある。  最寄り駅から徒歩数十分で着くのは、この二週間で使用人とともに下調べ済みである。   ひとりで電車やバスに乗ったことのない結花には、この上なくいい話だった。  そして、歩きながら思い出されるのは、先日のコントのような会話。 『手筈は済ませた! いいか? ちゃんと行くんだぞ? お前の面倒を見るのはなぁ、パパが見込んだ男だ!!! 厳しい男だがしっかりサポートをするんだぞ?』
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