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『え……ちょっと待ってパパ……私ってばなんの仕事をするの……?』
『はっ! もうこんな時間だ! パパは今から仕事でニューヨークへ行ってくる!』
一郎と彼の秘書・前田の姿は、瞬く間にそこから消えていった。
辛うじて聞けたのは、場所と時間と上司の名前だけ。
――――まさか、こんなにいきなり生活が激変するのに、中途半端に放り出されるだなんて……
今日まで結花はひたすら項垂れた。
最寄駅に近づいてきた。
何度かT&Yまで試走したものの、人の多さに圧倒される。
箱入り娘の彼女にとって、都内を歩くこと事態とても珍しいことだった。
でも、その一方で、結花は好奇心旺盛で少し風変わりなところがある。
激変した、新たなこの生活に、ほんの少しわくわくもしていた。
いつも移動はリムジン横付けがデフォルトで、
隣には、常に誰かがついていて、過保護に手を貸されていた。
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