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ひとりの外出というのは本当に久しぶりのことであり、こんなに開放的な気分は初めてのことなのだ。
周囲を見る彼女の目は、しだいにキラキラしていた。
だが、人生そう容易くはない。
早速、駅前にて不運に陥った。
「おおっと〜お嬢ちゃん、ごめんよ〜」
「ぐええっ!」
おそらく、朝まで飲んだくれていたのだろう。
顔を真赤にした千鳥足の中年男性が、結花に勢いよくぶつかってきた。
それだけではない。
大柄な男に体当たりされた結花が、その場で踏みとどまれるわけがなく――
勢いよく吹っ飛んだ結花の石頭が、前方を歩いていた背の高い上質なスーツを着ている男の背中に、豪速球で突っ込んだ。
「ぶぎゃ」
「――ぐふっ」
痛くないわけがない。ドン! とすごい音がした。それも背中のすごいイイ所にめりめりっとヒットした。
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