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これは名誉挽回のチャンスだ。
『頑張れ! 結花! いけ! 取って差し上げるんじゃ〜!』
一郎に視線で応援された結花は、
『ちょっと、よろしいでしょうか?』
と畏まって、極めて上品にソレを取って差し上げようとした――
が、寸前のところで体のバランスを崩してしまい、花びらではなく黒々した髪をむんずと掴んでしまった。
――――結果、取れたのは花びらではなく、カツラだった。
一郎は、もはやピヨピヨと魂の抜ける寸前だった。
「結花、パパはどうやらお前を甘やかし過ぎたようだ……」
いや、なんとなく、今回の騒動は自分だけの過ちではない気がしたが、彼女は細かいことは気にしない性質だ。
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