木蓮の涙《最終章》

30/30
前へ
/262ページ
次へ
駅からすぐの…アクセスの良い場所に宿泊していた。 ローマ・ティブルティーナ駅から…目指した場所。 オルヴィエートの丘へと列車で向かった。 1時間ちょっとの旅の中で何度も《ダ・ヴィンチ》にその光景を見せた。 「本当は…明彦と来たかったんだよねぇ…」 そう呟きながらも、嬉しそうに車窓を眺めていた。 やがて…その場所に着いた。 世界一の美しい丘と言われる…オルヴィエートの丘。 その丘の1番眺めの良い場所に、ようやく…辿り着いた。 「…あぁ…長かったぁ!! 笑」 そこからの眺めをしばらく堪能していた。 バッグから小さな箱を取り出し、中に入っていた指輪を取ると見つめていた。 「明彦。結婚指輪…ありがとう。そして、私からの結婚を…受け取ってね!!」 そう言って投げようとした時だった。 不意に麻有実に向かって…風が吹いた。 "麻有実…それは、持っておいてくれ…" そう言われた気がした。 投げようとした指輪は、寸前の所で止められた。 「!!明彦!?」 当然、明彦は居ない。だが、麻有実の耳に確かに聞こえた明彦の声であった。 明彦へ送るはずだった…指輪を眺めていた。 「これ…この先、役に立つの? 笑」 麻有実は、指輪を小さな箱の中にしまった。 そしてそこから叫んだ。 「明彦!!愛してる!!」 息を整えた。その後また叫んだ。 「ざまぁーみろ!!」 胸の中にあった…何か…それが取れた瞬間だった。 麻有実の瞳に映る…その光が来たるべきその日に勇気を与えてくれた。 その想いを胸に…オルヴィエートの丘を後にした。 「明彦…知ってる?私は幸せなんだよ?」 心の声は… Thinking Out Loud 終わり 申し訳ありませんが、これから先の短編ストーリーはスター特典とさせて頂きます。 ここまで長々とお読みくださり、本当にありがとうございました。 Another Storyの執筆を開始致します。 皆様に感謝致します。 銀色高貴
/262ページ

最初のコメントを投稿しよう!

164人が本棚に入れています
本棚に追加