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4 俺の婚約者が可愛すぎる
――そうして、数日後。
「俺の婚約者が可愛すぎる」
唐突な主人の呟きを、ジルはひとまず黙殺することにした。
ちらりと目を上げ、そして何事もなかったかのように自分の業務を再開する。迷いのない、流れるような動作だ。
「聞いているか? 俺のセレーネが可愛いという話だ」
しかし、その冷淡な反応を気にも留めず、ガイウスはもう一度繰り返した。
ぎょろりと睨みをきかせてジルの反応を促す彼に、小さくため息をつく。どうやらこれは返事を返すまで諦めなそうな気配がする。
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