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どんどん耳に血が集まっていくのがわかる。きっと、自分の顔は真っ赤になっていることだろう。
恥ずかしくて、俯いた顔が上げられない。
「いや、その……悪い」
気まずそうにガイウスが謝罪の言葉を述べる。それがより一層、ギクシャクした空気を浮き彫りにしてしまって。
「ウソでしょ、アンタ達どこまでピュアなのよ!?」
もどかしい雰囲気をひっくり返したのは、ティナの豪快な笑い声だった。
一度笑い出した彼女は、なかなか笑い止まない。しまいには目に涙を滲ませて苦しそうにヒィヒィと声を上げながら、それでも彼女は笑い続ける。
「ごめんなさい、団長さんがその顰めっ面で初心なのが本っ当に意外で! フフフッ、でも、なんか応援したくなっちゃう! ……良いわ、私で良いなら歌の先生になってあげる。二人のこと、もっと近くで見させてちょうだい」
「良いのか?」
「ありがとうございます!」
喜びに沸く二人に、ティナは茶目っけたっぷりにウインクしてみせる。
「その代わり、二人の結婚式には私も呼んでね?」
――そうして、セレーネは歌だけでなく恋についても頼りになる先輩、ティナと仲良くなったのだった。
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