7 俺と、結婚してほしい

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「ああ。いろんな種類の花をできるだけたくさん入れてもらった。――満開のモノも、まだ(つぼみ)のモノも含めて、な」  少しだけ言い淀んでから、ガイウスはもう一度セレーネを見上げる。そこには、今までにないほどの焼かれてしまいそうなほどの熱が籠められていた。 「花を愛でることを、(つぼみ)の可能性を教えてくれたのはセレーネ、貴女だ。貴女に会って、俺の世界は変わった。血と殺戮に(まみ)れ、汚れた俺を眩しいほどの綺麗な世界に導いてくれたセレーネ。貴女のことを、心から愛している。これからも俺の隣で、ともに歩んではくれないだろうか――婚約者ではなく、これからは生涯の伴侶として。こんな凶悪な顔の俺だが、貴女のことをきっと幸せにすると誓おう。……俺と、結婚してほしい」  つっかえながらも、真剣に、誠実に。ガイウスは思いの丈をぶつける。  今までこんな長文を、正直な己の内を言葉にしたことが果たしてあっただろうか。返事が返ってくるまでの一秒一秒が、まるで永遠のように感じられる。
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