109人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
ふっと笑って、ガイウスは今度は自分から彼女の唇にキスを落とした。
脳を焼き尽くしそうなほどの多幸感にクラクラする。このまま彼女を貪りつくしたいという気持ちに負けてしまいそうだ。
「君は本当に……最高だ」
愛してる、と囁きながらガイウスは腕の中の彼女に何度もキスの雨を降らせた。今まで必死で我慢してきた分、なかなか自分を止められない。
しばらくして息ができなくなったセレーネに背中を叩かれて、ようやくハッとその腕を緩めた。
もう、と唇を尖らせながらも微笑んでセレーネは彼を仰ぎ見る。
「ガイウス様。これからも歌を捧げさせてください。そして……たまには一緒に歌いましょう?」
今度は自分から胸に飛び込んできたセレーネを抱きとめて、とガイウスはその言葉に何度も頷いた。
――音には聞こえないけれど。
その時の二人の耳には間違いなく、世界一幸せな恋の歌が鳴り響いていた。
最初のコメントを投稿しよう!