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「こんにちは、ヴィンセント・シェーンベルクです」
翌日の遅い午後、カイの実家の大きなサンルームで向き合ったその人は、眩しそうに薄青の瞳を細めた。白に近い金髪が日の光を浴びてキラキラと光っていて、ちょっと見とれた。
「初めまして、倉林衣織です」
そっと差し出された手を握ると、微笑みがゆっくりと広がった。
「よう、相棒。よく来たな」
「そりゃ来るに決まってるだろ?」
私の後ろから現れたカイが、大きく腕を広げてヴィンセントと抱き合う。大柄な二人だから、まるで二羽の大鷲が翼を広げているように見える。嬉しそうに笑い合う姿は、なるほど幼稚園時代を彷彿とさせた。やがて背中を叩きながら身を離したヴィンセントが、右手の親指をぐっと立てたように見えたけれど、でもそれは素早くて一瞬だったから、本当にそうしたのかはわからない。それでも何となく認められたような気がして、心がじんわりと温かくなった。
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