4 初恋の再来

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「愛しています、お嬢様」  ほとんど囁き声のようなそれはグリシェの耳朶(じだ)をくすぐり、彼女の身体に火をつけていく。 「トゥーヤ……」  爆発しそうな心臓を抱えながら、グリシェは必死に声を出した。 「正直、今はまだいっぱいいっぱいで、何をどう答えたら良いのかわからないんだ! ただ、初恋の相手がトゥーヤで良かったとは感じているし、大剣を操るトゥーヤの姿はあの頃と変わらず格好良かった、とは思う……。ただ、さっきからトゥーヤを見てると心臓がどきどきするし気持ちはソワソワするしで、正直それどころじゃなくて! 異性としてどう思っているかは、もう少し落ち着いてから考えさせてほしい……」  グリシェを壁へと追い詰めていたトゥーヤの身体が、震えだす。おそるおそる彼の顔を見上げれば、トゥーヤが必死に笑いを堪えているのがわかった。 「可愛いなぁ、お嬢様は……そこまで言ったらもう、俺のこと、大好きって言ってるようなもんじゃないですか」 「そっ、そんなつもりは……」 「ええ、わかってますよ。大丈夫です、お嬢様。お嬢様の気持ちの整理がつくまで、俺はいくらでも待ちますとも。ひとまず……」  そっと身を屈めて、トゥーヤはグリシェの耳元に囁く。 「明日もまた、お嬢様の目の前であの剣技を披露してみせますね」
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