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第二話
やさぐれ坊さんでも、ありがたい説教ができます。午後3時の教会で、坊さんは民に向って言いました。
「神様はカンカンに怒っている」
その後ろに座っていた神様はびっくりしました。立ち上がって訂正します。
「そんなことないよ!」
坊さんは神様を無視して続けます。
「神様は許さないと言っている」
「言ってないよ!」
あわてる神様をよそに、坊さんはのうのうと続けました。
「神様は地獄に落ちろと言っている」
「言ってないよ!」
神様は両手をバタバタと振りましたが、聴衆に聞いてもらえません。ドスのきいた坊さんの説教のインパクトの方が、彼らの心をとらえてしまっているからです。坊さんの話で恐くなった民が、ワアワア泣き出し始めました。
神様は困ってしまいました。教会の鐘が鳴ります。ありがたい説教がおわって、民が泣く泣く帰って行ったのを見送ると、坊さんにたずねました。
「どうしてそんなウソばっかりつくの」
坊さんは鼻を鳴らして横柄に答えます。
「ちっとぐらい泣かしといた方がいいんだ。民なんて」
「何でそんなに怒ってるの」
「お前が怒りまで忘れててムカつくからだ。俺様のおへそが曲がったら、民なんて指先でひとひねりだ」
「忘れたものは仕方ないじゃん」
「思い出せ」
「えーーー……」
神様は困惑します。
「変なの好きになっちゃった……」
そんな神様をよそに、坊さんは豪快にビールをラッパ飲みするのでした。
(未完作品)
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