尾行

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尾行

 あれから1ヶ月後。  妻が久しぶりに同じ施設で育った女性の人達とランチで集まると言ってきた。 「ランチ代が少し高いけど、行っていい?」  そう聞かれて、 「いいんじゃない?」  そう答えた。  私は胸騒ぎがして、有給を取って会社を休み妻を尾行した。  尾行すると、確かに女性数人とは会ったが50分弱で別れた。  そこから向かったのがラブホテルが乱立する地域だった。  私は恥ずかしさから距離をとって尾行していたら妻を見失った。  クソーと思いながら自動販売機で珈琲を買って飲んでいたら、遠くに見慣れた顔があり、こちらに近づいてきていた。私は背を向け知らないふりをしていると妻を見失った辺りでいなくなった。    あれは、私の弟だった。  貴司だった。  まさか?  この頃はかろうじて冷静で、独身とはいえ弟を疑いたくはなかった。  しかし、この日の夜は私も興奮して眠れなかっみたいで、眠っている妻を起こして体を求めた。妻はかなり久しぶりで驚き、少し嫌がった。    終わったあとも気まずい夜だった。
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