病院

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病院

 私は病院にいた。  白い天井。  いっぱい小さな穴が開いている。 何のためだろうか。    体は動かしづらい。  左の手足はほとんど動かない。  少しだけ顔を傾ける。  右に、左に。  ここが病院だと確認ができた。  すると、そんな私に気づいたのか丸顔で若いのにオバチャンのような口調で話し掛けながら近づいてきた看護師がいた。 「小山です。あなたの担当のナースです。あと少しで夜勤の子と交代するけどね。でも、良かったですね。かなり運ばれて来た時は悪かったんですよ、自発呼吸もできなくて。それが人工呼吸機に繋がっていないんだから。良かったですね、先生の腕が良かったのかな」  そんなことを言われた。  私は2日くらい意識を失っていたようだ。  でも生きていた。  助かった。  たぶん。  良かった、ん、だ・・・。    ただ、あとで診察してもらった担当医は冷静で慎重で無愛想であまり良い印象ではなかった。  病名は脳出血だった。  脳のレントゲンを見る限り酷い後遺症は残らないと言われたが、経過を見ないと保証はできないと言うことだった。  目を開けたのが夜更けであり、妻は面会が昼の14時からになっているから、明日のその時間には会えると思いますよと言われた。
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