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その日の夜には俺は病院に駆けつけられた。
手術は成功して命は助かったと聞いたときは思わず泣いた。しかし、意識は戻らず、一晩中ロビーや集中治療室をうろうろ歩き回った。
そして、長い夜が明けた。
恋人が意識を取り戻した。
まぶたを開けたんだ。
俺の手を握った。
言葉はまだ喋りづらいようだったけれど、大きな瞳からポロリと涙が枕に落ちるのが見えた。
奇跡を目の当たりにした朝日は、神々しく黄金の光を二人に注ぎ続けていた。
眩しかった。
その翌日。
俺は早朝からまた病院に駆けつけた。
面会時間外だったが、看護師さんになんとか許してもらった。
恋人はゆっくり回復していった。
俺は一日中、そばにいた。
そして、その翌日。
午前中は休みをもらい、午後からの仕事にしてもらった。
まだ絶対安静の状態だったけど酸素マスクも取れて会話も出来るようになったら、急速に回復していた。
病室に入ると、恋人がニコッて笑ったから、俺は涙が止まらなくなる。
そして看護師さんの目を盗んでちょっとだけキスをした。
仕事に行くまえに少し気晴らしに病院の屋上に上がった。
離島のある、遠くの空へ、叫んだ。
「ざまぁーみろー!」
「くそったれー!」
「ばかやろー!」
そして、
「○○○、大好きだー!」
みんなが一斉に振り向いて見ているので、俺はダッシュで逃げ出した。
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