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雨が降らない日が続き田畑の作物が枯れそうになっている。
それを防ぐために村は雨乞いの儀式をすることに決めた。若者はバカにしていたが、それで雨が降ったことがあるそうだ。
その儀式はその近辺の村々では昔から行われていて、必ず雨が降ると信じられている。
昔、儀式には若い娘が生贄にされたと記録が残っている。しかし数十年前からは、生贄を捧げるのを嫌い儀式自体が行われなくなっていた。行われても生贄など捧げず食べ物や酒などをお供えするだけになっていた。
僕はその儀式を記録するために助手として教授について来た。
儀式は無事に終わり、翌日には雨が降り出した。恵みの雨にみんな大喜びだった。
その雨も降り過ぎて作物を腐らせる前に上がった。
雨上がりの村は宴会だ。喜びにあふれていた。
でもこの人たちは重要なことに気がついていない。
昔の儀式は生贄に人間を捧げなければならなかった。神様に願い事をするという行為はそれだけ覚悟がいることなのだ。
神様は食べ物や酒などを捧げられただけでは、満足していない。
その村の人たちの命を奪っている。寿命を縮める形で、すぐには死なない程度に。
ただの助手の言うことなんて信じられないかもしれないが、神様に願い事をする時は気をつけた方がいい。
神様は本当は怖いものなのだから。
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