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「込み入った話?」
「はい」
「セールス?」
「いいえ、違います」
「宗教の勧誘?」
「違います」
「押し入り強盗?」
「……」
「ちょ、なんでそこ、否定しないの?!」
「ですから込み入ったお話をしたいと申しています」
「……」
(なんなの、この男たちは)
いきなり我が家に現れた男三人。得体のしれない連中をひとり暮らしの家の中に入れることに抵抗があった。どうしたものかと考えていると、右端の男がいきなり「あぁ、まどろっこしいな! いいからサッサと中に入れろ!」なんて大きな声を出しながらドアに手を掛け大きく開けようとした。
驚いて咄嗟にドアを閉めようとドアノブを引いたけれど、力の差があり過ぎて反動で私の体はそのまま後ろに飛ばされる格好になった。
(床に叩きつけられる!)
そう思った瞬間、私の体を包み込むように支える腕があった。
「……へ?」
「だいじょうぶ?」
目が合ったのは先刻左端に立っていた綺麗な顔の男だった。
「こら、乱暴なことをするんじゃありません」
「だってまどろこしくってつい──」
真ん中と右端の男が言い争っているのを訊きながら私は左端の男によって静かに体勢を整えさせられた。
「あ、ありがとう」
「うん」
一応お礼をいうと男は少しはにかみながら微笑んでまた元いた場所に戻って行った。
(本当なんなのよ、この男たちは)
なんの刺激もない、平穏で平凡な日々を送っていた私の元に突然現れた三人の男。
この男たちによって私の運命が騒がしく乱されることになるだなんて、当然この時の私は全く知る由もなかったのだった──。
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