知らないのは君の方

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授業の後、学年代表の北宮は教授に呼ばれてついて行った。 俺と岩崎は空きコマを利用して製図課題に取り組むことにした。 「そう言えば『あのこと』って?」 「聞く?」 「お前が話ふってきたんじゃん」 そこで、岩崎は手をとめると俺を見て言った。 「彩葉ちゃん、同じ文学部の南雲って男に告られたらしい」 「彩葉が?」 「奈々が言うには、南雲ってイケメンだってさ」 「彩葉が……相手にするわけない」 「お前、思いっきり動揺してるじゃん」 真っすぐ線をひかなければいけないところを、ぐにゃっと引いてしまった俺の製図を、岩崎は憐みの目で見た。 「コーヒーでも買って来る」 俺はごまかすように教室を出た。
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