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「あー、ご馳走様。じゃ、仕事行ってくるね。」
荷物を持って、圭也さんが玄関に向かう。
「行ってきまーす。」
もしかしたら、今日は帰って来ないかもしれない。
そう思ったら、圭也さんの腕を掴んでいた。
「紗良?」
「……キスして。」
自分でも分かっている。
30にもなって、こんな我儘言うなんて。
「ほっぺたでもいいし。」
圭也さんは何も言ってくれない。
「ごめん。何か、離れがたくて。」
すると、圭也さんは私の唇にキスをしてくれた。
「俺の奥さんは、ほんと可愛いな。」
その笑顔に、癒される。
「そうだ。行って来ますのチュー。習慣にしようか。」
「うん!」
そして圭也さんは、手を振って仕事に行った。
「仲いいですね。」
急に声が聞こえて隣を見ると、お隣さんがこっちを向いていて、驚いた。
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